母となられたその人の魅力
子供の頃私は、「洗足」という眠ったように静かな町に住み、田園調布にあるカトリック系女子校に通っていた。ある朝、学校はいつにない興奮に包まれていた。隣のクラスに転校生がやってくるのだ。しかもモスクワから! 異国の都市の名は想像を遥かに超え、小学生の私は好奇心で一杯になった。 その日の帰り道、洗足商…
View Article兵庫県神戸市 ラーンネット・グローバルスクール
日本の教育の疑問から、サラリーマン二人が学校を作った。夢の学校を開校してから四年――。二人の思いは、どう具現化したのだろうか。 子どもの教育のことで悩む親は多い。学校の現状に不満をもつ人も多い。独自の教育理念をもつ人も少なくない。だからといって、学校を立ち上げてしまう人は、ほとんどいないだろう。 …
View Article千葉県八千代市立萱田小学校
校庭の一角に「牧場」を作り、ポニーを飼っている公立小学校がある。そこには、子どもたちにとってのメリットのみならず、新興住宅地の「ふるさと作り」という意味合いもあった。「動物園みたいな学校がある」――そう聞いて、千葉県八千代市にある市立萱田小学校を訪ねてみた。 東京都心から電車で五十分。八千代中央駅…
View Article朝・毎・読・NHKがある限り……
サッカーのワールドカップ(W杯)の期間中、日本中がお祭り騒ぎだった。国内でこれほどスポーツに注目が集まったことは珍しいだろう。しかし、サッカーを除けば、日本のスポーツの前途は暗い。国民の娯楽ナンバーワンの地位が揺らいでいるプロ野球は、スター選手の海外流出におびえ、企業のスポーツからの相次ぐ撤退で…
View Article宮城県仙台市立黒松小学校
「ゆとり教育」の時代、学校の本分とは何なのか――。「学びの遅い子をクラスの『お客さん』にしてはならない」と、教育現場の「やさしい事なかれ主義」を排した校長の学校改革哲学。「学力保証」――黒松小学校はこれを看板に掲げ、習熟度別編成(算数のみ)を行なっている公立小学校だ。子どもを成績順に区分する「差別…
View Article山形県高畠町立和田小学校
食の安全性がこれほど問われる時代はない。新鮮で安全な野菜を子どもたちに食べさせたいと、給食用の食材を届け続けたお母さんたちの三十八年の歩み。 今年四月、全国で初めて栄養士出身の教頭が誕生した。高知県南国市立大篠小学校の甲藤温子教頭だ。学校栄養職員として、給食改革と食教育に取り組んできた実績が認めら…
View Article【フォーサイトレポート】 定年起業――シニアの社会参画の新しい道
「悠々自適よ、さらば」と、新たな仕事に情熱を燃やすシニアが増えてきた。彼らの知識と経験、そして挑戦は、高齢化に進む日本社会の転機かもしれない。気鋭のノンフィクション・ライターが、新しい高齢者群像に迫る。 国全体が高齢社会へと向かいつつあるなか、どうしたら社会の活力を維持していくことができるか――。…
View Article東京都品川区立京陽小学校
休みになった土曜日を誰とどう過ごすのか。「週休二日」が大人たちに問いかける働き方、休み方、そして誰が子どもを教育するのか―― 土曜日が休みになって良かったと思うのは、小学生では五〇・三%、中学生では五七・六%、保護者の平均は二一・二%(東京都中野区教育委員会のアンケート調査から)――公立の学校が週…
View Articleパキスタンがタリバン支援――「決定的証拠」をCIAが握った?
パキスタンがイスラム原理主義勢力タリバンを密かに支援しているのではないかとの疑念の声は以前から出ていたが、米中央情報局(CIA)は最近、その「決定的な証拠」をつかんだようだ。 ワシントンの消息筋によると、CIAは八月下旬、パキスタン南西部のクエッタにあるイスラム教の宗教学校マドラサにアフガニスタ…
View Article“世俗国家”フランスを揺るがすイスラム教徒のスカーフ
[パリ発]仏国民議会(下院)はその時々の政策課題についてインターネットの討論コーナーを設けている。そこで十月以降、最も議論が闘わされている話題は、イラク問題でも欧州統合でもなく「学校での宗教的象徴」。中学、高校でイスラム教女生徒が着用しようとするスカーフやベールを認めるかどうかが焦点だ。「髪の毛を…
View Article金融業界が熱い視線を注ぐ「病院・学校の証券化」
病院の建て替えだけで今後五年間に四兆円。最後の巨大市場を巡る動きはすでに始まっている。「最後の巨大市場」――。金融・証券関係者が口を揃えて語り、熱い視線を注いでいる分野がある。病院や学校の直接金融への参入だ。銀行融資に依存していた医療・学校法人が債券を発行し、成長に必要な資金を調達する動きが徐々に…
View Article【パースペクティブ】 保守派よ、教育現場のナショナリズム暴走を止めよ
国旗国歌法の成立を機に、教育現場で「愛国心」が強制されるようになった。しかし、官僚的な押しつけで本当に「国を愛する心」は育まれるのか。東京都をはじめ全国で進む「教育正常化」を、保守の立場から批判する。 健全な自己愛を持たない者は、他者と良好な関係を築くことができない。親しくなるとむやみに依存し、避…
View Article【ブックハンティング】官僚の珍妙な論理を冷静に論破した福井節
保育園に調理室がないと園児がキチッとした大人になれない。 理容師と美容師が同じフロアでヘアカットするとお客に危険が及ぶだけでなく、文化が破壊される。 外国人の永住許可に当たり必要な専門学識の判定は、専門家の見解など聞かず本人の申告だけに基づき入管局職員が行なうが、それは「上に立つ者」の「高度の政…
View Article日本の教育は「脱ゆとり」から「脱文科省」へ?
学習指導要領の改定に向けた論議が熱を帯びている。読解力、英語、週休二日、「到達目標」と見直しのポイントは多いが……。 この半年ほどの間に、子どもの「学力低下」に関する各種アンケートが新聞紙上を賑わせたのをご存じだろうか。「小学生の四割が『天動説正しい』」(国立天文台研究者の調査)、「赤十字は『あか…
View Article日本の若者たちの写し鏡となる階級社会イギリスの“野郎ども”
『ハマータウンの野郎ども』Learning to Labourポール・E・ウィリス著/熊沢誠・山田潤訳ちくま学芸文庫 1996年刊(単行本は85年刊)...
View Article“世界制覇”をめざす中国語の「アメリカ浸透」
中国ブームに草木もなびくアメリカでは、公立学校で中国語の授業が拡大。それを中国政府が積極的に後押しし……。 アメリカ人にとって“魅力あるアジアの国”は、もはや日本ではなく中国になってしまったのか。 米国内には中国製品があふれ、新聞やテレビの中国報道が圧倒的に増えている。とくに象徴的なのがモーニング…
View Article【フォーサイトノンフィクション】 フィンランド「世界一の教育」の秘訣を探る 1
生徒の思考力をはかるテストで世界一になったフィンランド。教師たちは「特別なことは何もしていない」と言うが、日本が見習うべき事は数多くある。教師の質を高めるために、フィンランドは何をしているのか。 世界の教育界がフィンランドに注目している。経済協力開発機構(OECD)の国際的な学習到達度調査であるP…
View Article【フォーサイトノンフィクション】 フィンランド「世界一の教育」の秘訣を探る 2
教師の質、とりわけ学校運営全般をつかさどる校長の質向上に邁進するフィンランド。そこでは、どのような人物が校長に登用され、いかなる「校長研修」が行なわれているのか。「オペッタヤ、オペッタヤ、オペッタヤ(教師、教師、教師)!」を合い言葉に、教師の質を高めることで教育の質をさらに高め、教育現場を活性化し…
View Article教育改革で独歩する品川区の「小中一貫制」
あまりに多い中学生の不登校に教育界が頭を抱えている。文部科学省の「学校基本調査」によれば、不登校生徒の数は一九九一年の五万四千人に比べ、全生徒数の減少にもかかわらず、二〇〇五年は十万人とおよそ二倍に達している。いまや三十六人に一人が不登校だ。 不登校の原因も様々だが、小学校の教師との関係と中学校…
View Article性犯罪前歴者に英会話を習いたい?
十年前にコロラドで「美貌の六歳」を殺した犯人が、いまごろバンコクで捕まるなんてまさかと、まず疑った。だがコロラドからのAP電によると、故ジョンベネちゃんの父親はテレビに出て「ほっとしました」と語ったという。殺された娘の親なら、警察から何か確実な連絡を受けているだろう。やっぱり真犯人かなあと、私は…
View Article傍観者に働きかける米国流「最新いじめ対策」
洋の東西を問わず、いじめの蔓延は悩みのタネ。アメリカの教育現場での対応策をレポートする。 昨年十一月五日から八日まで、米フロリダ州で第四回国際いじめ防止会議が開催された。世界から集まったいじめ対策専門家は約四百人。日本からの発表者はなかったが、オーストラリアのケン・リグビー博士が「傍観者をいかに変…
View Articleインド(上) 難関大学は世界一の狭き門
近年、インド国内外でインド人プロフェッショナルの活躍が目覚ましい。なかでも、情報技術(IT)、エンジニアリング、医学、そしてビジネス・金融の四つの分野で際だった活躍を見せている。 IT分野だけでも、在米インド人起業家支援組織であるTiEの設立者で自身いくつもの企業を興しているカンワル・レキ、ベン…
View Articleインド(下) 救いのない公立学校の実態
インド国内に存在するほんの一握りのエリート校から目を転じ、国土全体を見渡すと、国の未来を背負うべき何億人もの子供たちを置き去りにするインド教育の複雑さと不十分さが見えてくる。実際、質の高い教育を受けられるごく少数と、そうではない圧倒的大多数の子供たちとの間の格差は、先進国ではあり得ないほど凄まじ…
View Article【インタビュー】フランシスコ・エスペホ(WFP国連世界食糧計画・学校給食プログラム政策アドバイザー) カップ一杯の「給食」が子供たちにもたらすもの
飢えている人に魚を与えるか、それとも漁の仕方を教えるべきか――途上国援助を考える時によく使われる問いだが、WFP国連世界食糧計画・学校給食プログラム政策アドバイザーのフランシスコ・エスペホ氏は、「両方」と答える。 たしかに、学校給食があれば、貧しい家でも子供を労働させるより一食与えてくれる学校に…
View Articleイギリス 「平等化」追求の皮肉な結果
[ロンドン発]ゴードン・ブラウン首相は悩みの種が尽きない。経済の見通しは暗いし、労働党は五月のロンドン市長選をはじめ、地方選挙や補欠選挙で負け続けだ。官僚たちは、ブレア政権の財務相時代からブラウンがぜったいに譲らないと公言してきた財政健全化路線を静かに踏み外したばかりか、重要な機密書類をそこらに置…
View Articleイスラエル 内情複雑だからこその奮励
[エルサレム発]今年、日本はノーベル賞で大いに盛り上がった。物理学賞と化学賞で一年に四人の受賞が決定(現在は米国籍の南部陽一郎氏も含む)。日本では一九四九年に湯川秀樹氏が物理学賞を受賞以降、わずか十六人のノーベル賞受賞者のうち四人が集中したのだから、フィーバーも当然と言えるかもしれない。 一方、日…
View Articleドイツ ドイツ教育の「時代不適合」
[ベルリン発]かつては、ゲーテやシラーなどの大作家やカントに代表される数多の哲学者を世に送り出してきたドイツ。二十世紀半ばまでは、放射線を発見したレントゲンやブラウン管の発明者ブラウンら、物理、化学、医学などの分野でノーベル賞をほぼ独占するほどだった。優秀な頭脳が輩出した歴史を持ちながら、今や、栄…
View Article【インタビュー】水木楊(作家) 母校自由学園の経営になぜ作家は乗り出したのか
「帰りなんいざ、田園まさに蕪れんとす。なんぞ帰らざる」――中国の詩人、陶淵明(三六五―四二七年)が、官職を辞して田舎に帰る決意を歌った詩「帰去来辞」である。この春、東京都東久留米市にある自由学園の理事長に就任した作家の水木楊(本名・市岡揚一郎)氏(七一)は、経営者として母校に戻る心境を、この詩に重…
View Article独自性が薄れる専門学校の「官頼み」
私大入試が佳境に入る二月中旬から、新聞やテレビでは専門学校の広告が目に見えて増えてくる。多くの専門学校は四月の入学式直前まで生徒募集を続ける。大学と違って偏差値によるランク付けとはほぼ無縁のため、知名度が生徒募集に大きく影響するのだ。 専門学校は「専門課程」を持つ専修学校である。専修学校の生徒数…
View Article「ルースを育てた家」での最終戦
2010年5月10日午後、アメリカ東海岸の港湾都市ボルティモアの郊外で、ある野球の試合が行なわれていた。翌日からは、上原浩治投手の所属する地元オリオールズが、イチロー選手のシアトル・マリナーズを迎えてのメジャーリーグ3連戦が予定されていたが、この日の試合は、ハイスクール同士の何の変哲もない練習ゲ…
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